犬の歯磨きについての疑問

最近は、愛犬の歯磨きをしている飼い主さんやそろそろ歯磨きを始めないといけないのかな?と考えている飼い主さんが増えてきています。

そういう背景から犬の歯磨きについてよく聞かれることがあるので、今回はそれらについて解説したいと思います。

目次

犬の歯磨きについてよくある質問

  • そもそも犬に歯磨きは必要なの?
  • 嫌がって歯磨きをさせてくれないんだけど・・・
  • いつ頃から歯磨きを始めたらいいいの?
  • ハミガキ粉はどうするの?
  • はみがきガムは歯磨きの代わりにならないの?
  • どんな道具を使ったら良い?
  • どれくらいの頻度で歯磨きをしたら良い?

これらについて皆さんはどうお考えですか?

今回は一つ一つ見ていきたいと思います。

そもそも犬に歯磨きは必要なの?

愛犬の歯磨きについて、見聞きするのは最近のことのように思います。犬の室内飼育が当たり前になり、愛犬の口のトラブルに気づきやすくなったということや、口臭のある愛犬とのコミュニケーションを飼い主側が不快に感じることがあったり、愛犬の健康管理により心を砕くことも犬と暮らす方の普通になったからではないかと個人的には思っています。

昔から犬と暮らしてきた方達からは、
「犬の口が臭うのはしょうがないと思っていた」
「以前飼ってた犬は、歯周病がひどくなり目の下から膿が出て病院に通った」
「犬の歯石に爪を立てて歯石を取っていた」
などといったお話を伺うことがあります。

昔から飼い犬もお口のトラブルがありケアは必要だったのにも関わらず、一般的にはケアが必要だとの認識がなかったのです。歯周病がひどくなった時のみ病院にかかるくらいだったようです。

野性の動物は歯磨きしないじゃない?とのご意見もあるかと思います。
野生動物の場合は、生の肉や筋や骨や草など食べます。食べものにより歯磨き効果を得られていたという話を聞きます。また、糖を摂取することはまずないので、お口の環境が変わりにくく、歯周病になりにくいという側面もあるようです。

人間と暮らしている犬は基本的に加工されたものを食べています。
ドッグフードは基本的に加工された食べ物ですし、糖の摂取もするので、どうしても口腔環境が乱れ、歯が汚れやすくなってしまうのです。

こういったことから、私たちと暮らしている犬は基本的に歯磨きが必要ということなのです。

愛犬が嫌がって歯磨きをさせてくれない

歯磨きを抵抗なく受け入れてくれる犬もいますが、簡単にさせてくれない犬もいます。歯磨きは犬のために必要なことですが、だからと言って無理矢理にやったり、抵抗することを叱ったりすると、歯を磨かせてくれなくなるだけではなく、咬傷事故や犬の飼い主さんに対する不信感や嫌悪感につながったり、その他の問題を生む可能性も高くなったります。

歯磨きというと、いきなり犬の口の中に歯ブラシを突っ込みたくなりがちですが、犬によって受け入れてくれるレベルはまちまちです。犬が平気で受け入れてくれるところから練習していくとことが大切です。まず、口の周りを触らせてくれるかどうかからチェックします。この時に我慢ではなく犬がリラックスして受け入れてくれるのかどうかを見ます。初めから思い描いた歯磨きはできないことの方が多いのです。徐々に受け入れてもらえることを歯磨きに近づけていくようにステップアップしていきます。

我慢をさせるのではなく、はじめからリラックスして受け入れてもらえるようにします。苦手なことを受け入れてもらえるようにトレーニングするというと、我慢をさせることがセットだと思われることがありますが、はじめから安心して協力してもらえる工夫をします。ステップアップ中もリラックスが基本です。

歯磨きをするための決まった場所に来てもらうことや歯磨き中にじっとしてもらうなど、犬側に協力してもらわないといけないこともあります。実は犬側がやることがあって、印象よく練習できるとその行動を楽しんでくれやすくなります。

歯磨きは犬と人の共同作業です。少しずつ練習してその過程もお互いに楽しみながら目標を目指しましょう。

犬の歯磨きはいつ頃から始めたらいいの?

子犬の頃は歯の汚れや臭いや歯石が気になるようなことはあまりありません。歯が生え変わって、永久歯になっても2年ほどはほとんどの場合見た目はきれいな場合が多いように感じます。3年ほど経つと歯が黄色くなってきたり、歯の根元に歯石が溜まっているのが目視でもわかるようになってきます(個体差あり)。

歯石は歯垢が石灰化したもので、歯磨きをしたくらいでは落ちません。歯石は、動物病院で処置してもらう必要があります。

見た目の状態や臭いなどが気になってから歯磨きを始める方が多いですが、愛犬の歯磨きは、子犬のうちから始めることを推奨しています。先ほど書いた通り、目的の歯磨きができるようになるまで少々時間がかかることが多いです。子犬の頃から練習しておくと、一生のうちに動物病院で歯石取りをしてもらう回数を最小限にすることができます。

歯石は歯の表面の見えるところにもつきますが、歯周ポケットにも歯垢や歯石はつきます。歯周ポケット内の歯石は動物病院で処置してもらわないと炎症なども起こってくるので定期的に診てもらうことは必要ですし、処置を早めに行うことで抜歯を防ぐことにもなります。

歯磨き練習は時間がかかることが多いです。迎えた頃から練習を始めてできるだけ早いうちから歯磨きができるようにしましょう。

ハミガキ粉はどうするの?

私たちは歯磨きにハミガキ粉を使うのが普通ですが、犬にはどうしたら良いでしょう。

ペットショップには犬用のハミガキ粉も売られていますが、ハミガキ粉の使い方は慎重になったほうが良いとレッスンを受けてくださってる方にはお伝えしています。

なぜかというと、犬のハミガキ粉には犬が舐めたくなってしまうような風味のものが多く、歯ブラシにハミガキ粉をつけて口に入れると、歯ブラシをカミカミぺろぺろしやすくなります。舐めたり噛んだりするのが癖になってしまうと歯磨き自体がしにくくなりますし、歯ブラシの傷みが早くなります。

なので、基本的には歯磨き粉はなしで歯磨きをしていただくことが多いです。

ハミガキ粉をどうしても使いたいという方にお勧めしている方法は、歯ブラシを口から抜いた後に犬に舐めてもらう方法です。一度に全量ではなく何度かに分けるイメージです。

私たちの常識とは違いますが、犬の場合は歯磨きをさせてくれてることに対して食べ物をあげることもするので、ハミガキ粉を舐めるのが好きな犬に対しては、その代わりとしても使うことができます。

歯のケアの商品は、ハミガキ粉をはじめいろいろあるようですので、調べて使ってみるのもいいかもしれません。

うちの犬の場合は、ハミガキ粉は使わずヨーグルトを舐めてもらうようにもしていました。犬の口腔ケアにヨーグルトがいいらしいという情報があったのであまり期待はせずに使っていました。愛犬は喜んでくれるので一石二鳥ですし、歯磨きがしにくくなることもありません。ヨーグルトにアレルギー反応がないことが条件ですが、使ってみようかな冬瓜替えの方は、まずググってみてください。

ハミガキ粉の使い方は、その犬にとってどうするのが良いのかを様子を見つつ検討することをお勧めします。

はみがきガムは歯磨きの代わりにならないの?

「はみがきガム」というと歯磨き効果がありそうですが、あまり期待しない方が良いと思います。やっぱり歯磨きをした方が良いです。

キャベツの芯が歯磨き効果が高いというような話もあります。犬がそれを食べた後に歯磨きをするといつもよりも歯垢がシートにつかないなあと感じることはありますが、それでもしっかり磨けてるわけではありません。

やっぱり、歯磨きは必要です。

どんな道具を使ったら良い?

歯ブラシ、指サック型ブラシやシート、歯磨きシート、歯石とり用スケーラーなどなど犬のケアグッズはいろいろあります。

やっぱり歯ブラシでないと歯間や歯周ポケット歯磨けません。シートやサックでも歯垢はある程度磨くことはできるのですが、歯間などの細かいところは難しいです。歯ブラシに抵抗がある犬の場合は、シートやサックで練習をして徐々にブラシに移行していくと良いでしょう。

歯石取り用のスケーラーは、使い方によって歯や歯茎を傷つけてしまうことがあります。歯石がついてしまっている場合はかかりつけの獣医師に相談し、より安全な方法を選ぶようにしましょう。

どれくらいの頻度で歯磨きをしたら良い?

犬の歯垢は3日で歯石になるのだそうです。

ということは3日おきでいいのかな?との考えもあるとは思いますが、全ての歯をしっかり磨けるのであればそれでもいいかもしれません。

歯磨きを始めてすぐの場合や、そうでなくても全ての歯を磨けるほど長い時間できないことがほとんどです。もしそのような状態なら、磨く場所を3分割させて3日で全てを磨けるようにするのはどうでしょう。短時間で終わらせられるので犬の負担は小さくすみますし、印象も悪くなりにくいでしょう。

歯磨きは無理をせず、その後も受け入れてもらえるように、「大丈夫」の積み重ねができるようにしていきましょう。

まとめ

愛犬の歯磨きは早いうちから行う方向で考えてもららいたいと思います。口腔ケアは人間同じく犬の場合も身体の健康維持のためには大切です。

といっても、犬には受け入れにくいケアのひとつです。犬が受け入れてもらえるようトレーニングは必須です。

毎日数秒から数分ずつ、愛犬と歯磨きの練習をコミュニケーションとしても楽しんでもらえると良いと思います。

犬によっては口を触られることに初めからかなり抵抗を示す場合もあります。難しそうだなと感じる場合はできるだけ早いうちからトレーナーや獣医師などに相談して練習をしていきましょう!



よかったらシェアしてね!

この記事を書いた人

CCPDT認定ドッグトレーナー
動物取扱責任者
福岡県動物愛護推進委員
人道的なドッグトレーニングの普及
訪問&オンラインで個別レッスン実施中

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次