ドッグラン(ドッグパーク)で愛犬が他犬と楽しく走り回る姿を見たい!、他の飼い主さんと交流して楽しみたい!など、ドッグランに憧れや良いイメージを持っている方は多いように感じます。
実際ドッグランで楽しく過ごし、うまく利用できているケースは多いですが、一方でトラブルが起きることもあります。「いぬのきもち」さんのサイトでのアンケートによるとドッグランに行ったことがある方の中でトラブルにあった経験があると答えた方は2割。ドッグランに行ったことのある253件中51件は何らかのトラブルに遭ったことがあるということです。(このグラフの数字、よく見るとちょっとおかしいですね)
いぬのきもち WEB MAGAZINE ドッグランに関するアンケートvol.01
今回は、出来るだけトラブルに巻き込まれず、ドッグランを賢く利用するための方法と心得について、ドッグトレーナーの視点よりお話しします。
これまでに聞いたことがあるトラブル
- 噛みつき事故(怪我・死亡に至るケースも)
- 衝突事故(対犬・対人・対施設内の柱や壁)
- アレルギー症状の発症
- 飼い主同士のトラブル
- 他犬からの一方的な接触(相手の飼い主が止めない)
- 他人や犬の所有物の破壊
- 誤飲
- 他犬が苦手になる
トラブルに巻き込まれないために
ドッグランのルールを把握しておく
ルール把握は当たり前ですが、各ドッグランによりルールが違います。いつも利用しているドッグランとルールが違ったことでトラブルを回避できなかった!なんてことにならないよう、利用するドッグランのルールをしっかり把握しておきましょう。
例えば、おやつの持ち込みがOKなランなどで、悪気なく他犬にもおやつを与えてしまう方がたまにいらっしゃるようです。(やめていただきたいですけどね!)アレルギーがある場合や他人からの食べ物を食べさせないようにしているような場合は、注意が必要です。
また、おもちゃの持ち込みがOKな場合は、物をめぐっての犬同士のトラブルに発展することがあります。おもちゃを介して一緒に遊んだ経験がある場合でも、状況によってはトラブルが起きる場合があります。おもちゃで遊んでいる犬には愛犬を近づけない方が良いでしょう。
おやつやおもちゃがルールでOKでも、場合によっては利用者側の判断で使わない配慮をすることで加害者や被害者になることを防ぎやすくなります。
利用者の配慮
ルールにないとしても、利用者それぞれの配慮があると犬も人も快適にドッグランを利用しやすくなります。そんなのわかってるよ!という方もいらっしゃるとは思いますが今一度見直して見ましょう。
- 他犬が出入りの際は愛犬を出入り口から遠ざけ、一旦リードをつける
- 入場した犬は、落ち着いてからリードを外す(落ち着かない場合は、一旦退場する)
- 愛犬に服を着用させる場合はできるだけシンプルなものにする(破壊や誤飲などの防止)
- 首輪やハーネスはつけたままにしておく(万が一の時の取手となる)
- おやつは地面に置いたり投げたりせずに確実に愛犬の口に届ける
- 愛犬から目を離さず、すぐに対応できる距離にいる
- どこかで犬同士の喧嘩が勃発したら愛犬をすぐに呼び寄せリードをつけてことが落ち着くまで遠くで待つ(喧嘩に加勢してしまう犬もいるので即対応する)
- 愛犬が一方的に他の犬に絡んでいる場合やマウンティングをした場合は速やかにやめさせ、リードをつけてその場から離れ、落ち着くまで待つ
それぞれの飼い主がいつでも対応できる準備をしておくのは、お互いがきもちよくドッグランを利用する上で必要なことです。
飼い主の心得
ドッグランは「自由に遊んでらっしゃーい!」という場所ではない
ドッグランは、囲いがあるから安心して犬をリードから離し自由にさせることができる場所ではあるのですが、呼び寄せや短時間の待機などができる状態を作った上で利用するようにしましょう。緊急時に呼び戻しや待たせることができないのは、やはり危険です。
トレーニング途中の場合は、まずは貸切ランなどで練習しましょう。他犬がいない貸切ならロングリードの利用も可能です。他犬もいるランで呼んでも来てもらえないことを続けても望む結果は訪れません。
ドッグランに連れていけば他犬に慣れるわけではない
ドッグランを犬慣らしの場所として利用するというのをよく聞きますが、飼い主の望み通りに他犬と遊んでくれるようになることもあれば、返って他犬が苦手になるケースもあります。他犬と遊べることは家庭犬の優先スキルではありません。ドッグランデビューにチャレンジしたいという飼い主側の希望を叶えるために愛犬を一か八かの賭けに晒すのは避けるのが無難でしょう。
その代わりに愛犬のペースに合わせながら練習します。他飼い主&他犬との距離をコントロールできる状態で、一緒にお散歩をするなど、ボディーランゲージを観察しながら練習を積み重ねていきます。犬が緊張するような状況を作らないことが大切です。
顔見知りになった犬と貸切ランでの経験を経てから他犬もいるランデビューをするなどと、少しずつ階段を登るようにしていくとより安全に他犬に慣れてくれやすくなります。
ここで紹介した方法は一例です。犬によって合う合わないはあります。ドッグランデビューを安全に進めるためにドッグトレーナーを利用するのも良いと思います。
ドッグランで走るのは一瞬だけ
ランでは、愛犬に思いっきり走りまわってもらいたいと思っている飼い主さんは多いですが、早い動きや思いっきり走ることなどは案外一瞬だけで、続かないことが多いものです。これは正常で、むしろそうあって欲しいと思います。
わざと追いかけたり、おもちゃを投げて、愛犬が走るようにけしかけたりせずに、他犬や他人がいる所でも落ち着いていることを評価したいものです。犬同士で匂いを嗅ぎ合ったり、一緒に移動したり、他犬が嗅いでいた所を後から嗅ぎにいくだけでも、犬たちは静かに平和な時間を楽しめます。
逃げたり追いかけたり激しく動く時間は、若い犬ほど長い傾向にあります。ずっとハイな場合は喧嘩などのトラブルが起きやすい状態です。途中で呼び寄せて、少し待機させるなど、定期的に落ち着いてもらう時間を意図的に作ると良いでしょう。
相性が合わない犬がいる場合
どうしても相性が合わない犬はいるものです。お互いに協力ができる場合は、交代でランと貸切ランを利用するとか、そのようなことできない場合は、愛犬と貸切ランのみを使うとか、その犬が帰るまで待つとか、その日は諦めるとか、鉢合わせない方法を取りましょう。
せっかくランに来たのに、帰るのは勿体無いなどと思わなくて良いように、入れない場合はどうするのかをあらかじめ決めておくと良いでしょう。
相性が合わないのは犬だけでなく、人同士もあるかもしれません。トラブルになる前に退散を選ぶのが愛犬の今後のことを考えると賢いかもしれません。
愛犬と他犬が喧嘩になったら
喧嘩になってしまったら、すぐに介入しますが、小型犬同士の喧嘩でも手を突っ込むと人の手や腕や顔を噛まれることがあります。足で犬たちの間に割って入り、視界を遮った上で、犬を(抱き上げ)その場から離します。もちろん足でも噛まれることはありますので、次に紹介する方法を使う方が安全かもしれません。
特に中型犬以上の場合は、直接人が割って入らずに必ず「もの」を使い、人が噛まれないようにします。大きな板や長い柄のほうき、脱いだ上着などを犬たちの間に差し込む、ザバンと水をかける、空気をパンパンに入れたビニール袋を勢いよく割るなどをして、犬たちが一瞬怯んだすきに愛犬をその場から引き離します。興奮している犬は対人であっても強い噛みが出やすいので要注意です。
リードをつけ、相手の犬から十分に距離を取ったら、怪我がないか愛犬の身体中をチェックしましょう。また、リードをつけたまま歩き、歩様のチェックもします。怪我をしている場合は、処置をします。場合によっては病院に運びます。登録制などではないランでは特に喧嘩をした相手の犬の飼い主とは連絡先を交換しておくと良いでしょう。
他犬をお触りして良い場所ではない
これもよくある勘違いですが、他犬は大丈夫でも他人は苦手な犬もいます。また、触られることで犬がとびついてしまい、人が押し倒されるようなこともなきにしもあらずです。他犬を触ることで愛犬が割って入り、トラブルになることもあります。この前の記事でも書きましたが、自分の家族ではない犬をむやみに触ることは基本的にはしないのが無難です。
小さな子どもはしっかり管理する
ドッグランのルールで入場できる子どもの年齢が決まっていることもありますが、特にルールがないこともあります。犬によっては小さな子どもが苦手という場合も
あり、ドッグランに子どもを入れる場合はリスクを十分理解した上で、しっかり管理しましょう。愛犬の様子を見ることも忘れずに行います。
ドッグランは犬のための場所です。子どもがいることで、他犬の振る舞いを窮屈にさせてしまう場合は、貸切ランを利用しましょう。貸切ランの利用をすることで飼い主の気持ちの負担も危険も少なくなるでしょう。
まとめ
ドッグランに行くことが、負担になる犬は無理に連れていく必要はありません。連れていくことで、他犬が苦手になり、いつもの散歩に影響が出るケースもあります。愛犬が楽しめる場合でも、トラブルが起きる可能性があることを心に留め、十分に準備をした上で気を抜かず、さらにお互いさまの精神で気持ちよくドッグランを利用していきましょう。
3月17日にtomonyメンバーとのインスタライブで「ドッグランの利用方法について考える」というテーマでお話しした内容も参考にしています。
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